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2016年上半期の展示会業界の見通し2016/01/26

2016年上半期の展示会業界の見通し

国際見本市連盟(以下、略称UFI:Union des Foires Internationales と表記。)が2015年6月に、参加メンバーに意識調査を行った結果から2016年上半期の展示会業界の見通しを予測します。


UFIとは世界85ヶ国の主要な展示会主催者、展示会場、展示会業界団体638 社・団体で組織された業界団体です。 今回の調査は2009年より続くもので、半期ごとに「経済危機が各国に与える影響の推移」を調査しています。


回答したのはUFIのメンバーで、アジア、オセアニア、北南米、中東、アフリカのそれぞれの地域から選ばれた55カ国の201社。前回までの同様の調査と合わせて、2008年下半期から2016年上半期までの推移を見ることができます。



【調査項目】

1.前年同半期と比較した売上高の予測
2.前年と比較した営業利益の予測
3.「経済危機が各国の展示会産業に与える影響は、もはや無くなった」と感じるか?
4.展示会業界における課題について


【結果と考察】


1.前年同半期と比較した売上高の予測


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アジア及びオセアニアで、2015年度下半期に落ち込んだ売上高の、回復を見込むと答えた企業が多いです。

2015年度下半期では「売上高が伸びる」と回答した会社の割合が43%だったのに対し2016年上半期では、56%の会社が「売上高が伸びる」と回答。2015年度上半期の75%には及ばないものの、「売上高が伸びる」と回答した会社の割合が13%も増加しました。

また、他の地域では「わからない」と回答した割合は15%程度なのに対し、アジア及びオセアニアでは23%が「わからない」と回答し、売り上げの回復を見込む企業とともに、先行きの不透明さを感じる企業も他の地域に比べ多かったです。


2.前年と比較した営業利益の予測


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アジア及びオセアニアを除くすべての地域では40%程度の会社が「10%以上営業利益が増加する」と見込んでいるのに対し、アジア及びオセアニアでは48%の会社が「10%以上営業利益が増加する」と回答しており、2014年度に比べ15%も増加しました。

特に、中国では、実に58%の会社が「10%以上営業利益が増加する」と回答しています。


3.「経済危機が各国の展示会産業に与える影響は、もはや無くなった」と感じるか?


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全地域で、「経済危機が各国の展示会産業に与える影響」について「すでに無くなった」または「まだ無くなっていないが2015年から2016年にかけてなくなるだろう」と回答した会社の割合は70%近くにのぼりました。

ヨーロッパを除くすべての地域では半年前と同じような数値を示していましたが、ヨーロッパでのみ、「すでに無くなった」と答えた会社の割合が28%から45%まで急増しました。


4.展示会業界における課題


7つの課題一覧から特に重要と感じる3つを選んでもらったところ、次の4つで全回答の80%を占めるという結果になりました。



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1.地域及び国の経済:25%
2.内部管理上(保険など)の課題:19%
3.展示会業界内の競合:18%
4.世界経済の先行き不透明さ:16%


環境の変化への対応は割合として10%程度と多くはないですが、ここ3年で新しく現れた項目で年々増加しています。

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主要各国の回答を国別に見ると、中国では「世界経済の先行きの不透明さ」に対する危機感が強く「世界経済の先行きの不透明さが課題」と答えた企業の割合が、全地域の平均16%に対し、中国では21%と高くなっていました。

またイタリア、ドイツでは「内部管理上の課題」について関心を寄せる回答が、イタリア26%ドイツ28%と他地域の回答19%より高い傾向にありました。


【総論】


この調査が行われた2015年6月は中国市場はバブルに湧いていたため、特にアジアで経済状況の回復を予測する関係者が多かったです。

しかし直後の2015年度6月中旬、上海市場の暴落が発生。中国当局は政策金利の利下げや新規株式公開の大幅削減、大手金融機関による株価買い支えなどにより、一旦は鎮静し2015年の12月には株価は上昇傾向にあったものの、 年が開けて2016年1月にはまた株価は下降傾向です。

中国の経済成長のおよそ半分は投資によるもので、特に不動産投資の占める割合が高いです。中国政府による株価維持政策によって株価は持ち直しつつあるように見えますが、投資に依存する経済の問題を根本的に解決するものとは言えず、問題を先送りしただけと言う声もあります。

引き続き中国の経済状況については不安が残るとともに、アジアの展示会業界全体に与える影響も懸念されます。

またヨーロッパでは「経済危機が展示会業界に与える影響はもはや無くなった」との関係者の予測通り、2015年7月にギリシャ危機が回避され、ユーロ相場は軟化傾向です。

しかし、ヨーロッパの展示会業界は新たな課題に直面しています。それは展示会場内での安全対策です。2015年1月に起きたシャルリー・エブド襲撃事件をきっかけに、ヨーロッパの展示会業界において展示会会場での安全対策に関心が集まるようになりました。



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Photo by maveric2003



人が多く集まる展示会場はテロリストのターゲットになることも十分考えられます。特に、海外からの出展者は、なかなか現地の状況が把握しづらいため、テロが発生したというニュースにより出展者が不安を抱え展示会への参加を見送るケースも少なくありません。

実際に2015年11月にパリで同時多発テロが発生した際には、直後に行われたCartes(ICカードとセキュリティを主軸とした展示会)などの展示会で、出展の見合わせが相次ぎました。テロが展示会に与える影響が懸念されるのはヨーロッパだけではなく、2015年8月に発生したタイの爆弾テロでは幾つかの展示会が延期されるなど、展示会業界に大きな影響を与えました。

セキュリティや保険といった、展示会の安全管理は、2016年度展示会業界全体にとって大きな課題になるでしょう。

また、新しい技術へ対応し顧客のニーズに答えるのも今後の重要な課題です。

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Photo by x1brett



2016年の1月初旬に開催されたCES(ラスベガスで毎年開催される世界最大の家電見本市)などでは、早速ウェアラブルデバイスやドローンなど新技術が大きな注目を集めていました。

スマートフォンの普及によって、会場内のMAPをアプリで配信するなど、新しい技術を展示会運営に取り入れる展示会主催者も増えており、出展内容だけではなく、展示会の運営においても新技術の対応が課題になるでしょう。


出展:UFI Global Exhibition Barometer

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